この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
相談者は、業務に関連する不正を咎められ、懲戒解雇を受け、あわせて退職金を全額不支給とする決定を受けました。非違行為があったことは事実であり、本人に懲戒解雇自体を争う意思はありませんでしたが、退職金規程に従えば2千万円以上に上るはずの退職金について、いくらかでも支払いを受けることを希望されていました。
解決への流れ
訴訟を提起し、本人は長年の勤続の過程で何度も表彰されており、勤務先に対して多大な功績があること、これに対し、非違行為は長年の勤続の功を抹消するほどの重大なものではないことなどの主張・立証に努めました。争点整理が一段落した段階での和解協議の結果、本来の退職金額の5割を上回る額で和解することができました。
退職金は退職金規程等で、支給すること及び支給額又はその計算方法が定められていて初めて法的に請求権が認められるものであり、そのような定めがなければ、いくら長年勤務したとしても法的に請求することはできません。その一方、そのような定めがあって退職金の請求権が認められる場合、たとえ懲戒解雇による退職であったとしても当然に不支給とできるものではありません。長年の勤続の功を抹消するほどの重大な背信行為が無ければ、退職金の一部又は全部を請求することができます。そのような場合、懲戒解雇に理由があるからといって退職金まで簡単に諦めないでください。弁護士に相談されることをお勧めします。