この事例の依頼主
70代 女性
相談前の状況
相談者は多数の不動産・株式・投資信託・預貯金を有していた。自己の相続発生時に紛争が生じない内容の遺言書の作成を希望していた。
解決への流れ
以下のとおり対応した。・相談者の意向を確認し、できる限り遺留分侵害が生じない内容となるよう調整した。・他の相続人から特別受益の主張がなされる可能性があったため、持ち戻し免除の意思表示を行った。・遺言執行者を弁護士と指定し、遺言執行においても紛争を生じさせないようにした。・遺言無効の主張を可及的に防止するため公正証書遺言とし、また、公正証書作成時の証人は弁護士が務めたため、証人を探す手間を省くことができた。
まず、法的に有効な遺言書を作成することが必須となります。民法に遺言の要式が定められていることから、要式を1つでも欠いている場合、遺言は無効となってしまいます。次に、遺言の内容を具体的かつ明確にすることが大事です。解釈に疑義を生じる内容ですと、せっかく有効な遺言書を作成したにもかかわらず、相続人間でトラブルが生じるおそれがあります。さらに、遺言の内容にも気を付けなければいけません。特に遺留分侵害が生じるリスクは考慮する必要があり、遺留分侵害が生じない遺言とする、遺留分侵害が生じてしまう場合には、持ち戻し免除の意思表示を行うなどして、遺留分に関する争点を少なくするなどの配慮が必要です。遺言の内容に関しては、法的な知識を有する弁護士でなければ気付かない事項も多々あります。なお、遺言書の作成を弁護士に依頼すると、その弁護士が公正証書作成時の証人や遺言執行者を務めてもらえることもあります。