犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割 . #財産目録・調査 . #相続登記・名義変更 . #相続人調査

【遺産分割調停】相続人が20人以上いる争いのある遺産分割調停

Lawyer Image
芳賀 広健 弁護士が解決
所属事務所リーガライト法律事務所
所在地北海道 札幌市中央区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

長年自宅の土地建物の遺産分割をせずにそのままにしていました。土地建物を売却したいと考えていましたが、売却するためには遺産分割協議が必要でした。しかし、誰が相続人なのか、もはやご相談者様も把握できない状況でした。

解決への流れ

相続人を調査し、全員に対し、事前にお手紙を送付して、遺産分割が必要であること、希望があれば、土地建物を売却し一定額の金銭を分配したいと考えていることを提示しました。しかし、全員からの賛同を得ることが難しかったため、家庭裁判所に遺産分割調整申立てを行いました。そして、無事遺産分割協議をまとめ、土地建物を売却し、法定相続分に応じた金銭を分配することで解決することができました。

Lawyer Image
芳賀 広健 弁護士からのコメント

長年遺産分割をしないでいると相続人がねずみ算式に増えていき、20人、30人以上になるケースがあります。不動産の名義が、自分の両親ではなく、祖父母や曽祖父母名義のまま、という方は注意が必要です。遺産分割協議は相続人全員との間で行わなければ無効です。遺産分割協議ができないといつまでも不動産の登記を移すことができません。登記を移せないと不動産の売却もできません。今回のケースでは、ご相談者様も相続人を把握できませんでした。そこで、まず相続人の調査を実施しました。戸籍を取得し、相続関係図を作成し、各自の法定相続分に応じた割合を計算しました。次に、判明した相続人全員に対し、お手紙を送付し、遺産分割協議の呼びかけを行いました。面倒くさいと思われて、手紙を読んでくれない方も多くいらっしゃるので、残念ながら、全員との合意はできませんでした。相続人が少ない場合には、遺産分割を協議を呼び掛けると調整できる場合もあるのですが、人数が多い場合にそれも困難です。そこで、家庭裁判所に遺産分割調停申立てを行い、裁判所での話し合いに移行しました。裁判所から通知でようやくほとんどの方が、遺産の取得を希望する、希望しない、との意向を表明してくれました。ただ、それでも2名の方は意向を表明してくれませんでした。そこで、現地調査を実際し、何とか意向を表明してほしいと伝えて、1名の方はようやく意向を表明してくれました。もう1名の方は残念ながら意向を表明してくれませんでしたが、住所と居住の実態は確認することができました。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要ですが、調停に変わる審判という制度があります。これは、実際には争いがなく調整がついている場合で、全員が裁判所に出頭することが難しい場合に、遺産分割協議と同じような内容の決定を裁判所に出してらう手続きです。審判書が全員に送達され、2週間以内に異議が出なければ確定します。確定すれば、遺産分割協議成立と同じ効果があり、不動産の登記が可能になります。意向を表明してくれなかった1名については、法定相続分に応じて分配するとの内容で調停に変わる審判を出してもらい、住所と居住の実態は確認できたため、付郵便送達(書留で郵便局から発送してもらった時点で送達が完了したことにできる送達方法)を行い、無事送達でき、審判も無事確定しました。確定後、単独で取得した依頼者が不動産を売却し、他の相続人に分配し、事件は終了となりました。長年遺産分割を放置すると相続人が多数になり、相続人間の関係も希薄であることから、相続人の調査に労力と費用が掛かります。そのような事態を避けるため、生前の対策が重要です。特に不動産がある場合は対策をしておかないと今回のケースのようになる可能性があります。生前の対策としては、遺言や家族信託の活用がお勧めです。自分の財産を、誰に、どのように残したいのか、明確にすることで、残された相続人の負担を軽減できます。生前の対策をしていなかった場合でも、できる限り早い段階で遺産分割協議を行い、共有状態を解消しておいた方が良いです。