この事例の依頼主
60代 男性
会社負債総額:1500万円ほど会社債権者数:3社ほど個人負債総額:2000万円ほど個人債権者数:15社ほど業態:情報収集・提供(いわゆるリサーチ会社)リサーチ会社などと恰好のいいことを言っていますが、実際には私個人でこれまでのつてで市場動向等の調査を行うだけの小さな会社で、特に従業員もいません。これまで大口で調査を依頼してくれていたお得意さんが業績悪化で、2年位前から、ほとんど仕事がなくなってしまいました。このお得意さんほどではないのですが、これまでお付き合いがあったお得意さんに頼んで仕事をもらっていたのですが、大幅な売り上げ減を穴埋めできるような収入には結びつきませんでした。個人で消費者金融用から借り入れを起こして何とか事業を継続してきたものの、これ以上は私も借り入れができなくなってしまい、毎月の借金の返済が間に合わなくなっています。今月にも借金の返済をストップせざるを得ない状況にまでなってしまいましたので、ご相談に来ました。まだ、お得意さんには話をしていませんが、お得意さんが了解してくれれば、会社で取引していたものを私個人の取引に変更してもらって継続したいと考えています。もちろん、お得意さんには破産の話はせずに切り替えられればと考えているのですが、そのようなことが可能なのでしょうか。私もいい年齢なので、これから全く違う仕事をするということも難しいものですから、何とかそのようにできないものかお願いします。借金がかなりの額ありますので、会社も私個人も破産しなければならないということは理解しています。ただ、破産することで今までの仕事が私個人の名前でもできなくなってしまうのではないか、そのことが非常に心配です。また、得意先さんからの仕事を会社から個人に切り替える場合、一旦会社としての取引は止めなければいけないのでしょうか、そのタイミングもよくわかりませんし、会社として破産する場合には税金も免れるのか、会社で加入している保険がどうなるのかとか手続き的なことが全く分からず非常に不安なので、面倒かもしれませんが、きめ細かく指示をいただければと思います。
得意先さんとの関係が一番心配だったのですが、得意先さんからの仕事が途切れたタイミングで破産を申し立てることが出来、得意先さんには知られずに手続きを踏むことが出来ました。得意先さんとの仕事は、定期的に仕事を受けていたというよりも、季節的なものばかりでしたので、全く仕事を受けない季節を狙って破産申請できたのが良かったと思います。いざ破産を申し立てると、破産管財人からは本当に私個人としての仕事に切り替わっているのか、得意先からの売掛金残がないのかといったところをかなり厳しく追及されたのですが、しっかりと秦弁護士と段取りを組んで進めていましたので、破産管財人からの追及も何とかやり過ごすことが出来ました。漠然と「会社をたたむ」と考えていても、いざ会社を閉業するとなるといろいろと考えなければいけないことも多く、その都度秦弁護士に質問しきめ細かく指示等がありましたので、安心して手続きを踏むことが出来ました。破産すれば借金をリセットできるので、後は弁護士にお任せしておけばよいと最初は考えていたのですが、破産申請前の会社としての業務終了に当たっての準備や手続きが思っていた以上に手数がかかりましたが、きめ細かな指示のもと準備できましたので、良かったと思っています。私も年金を受け取る年齢になりましたが、個人事業者としての年金は微々たるものなので、まだまだこの業界で仕事をしていかなければいけないと思っています。今回の破産で借金を全てリセットすることができましたので、今まで以上に仕事に打ち込んでいきたいと考えています。
ご依頼者様のお話では、しっかりと仕事を受注することが出来れば、個人としてやっていく分には利益が出るというお話でしたので、民事再生手続きの利用も多少検討したのですが、直近の業績を見る限り、安定した仕事の受注とは言いにくく、再生手続きで処理することは難しいと感じました。次に、ご依頼者様のリサーチ業務として何等か特殊な資格を持っているのであれば、破産によってその資格が停止になったりしないかが不安だったのですが、そのような特別な資格等もないということでしたので、破産で手続きを進めていくことにしました。今回のケースで一番神経を使いましたのは、破産の申請時期になります。と言いますのは、破産申請の際に未回収の売掛金がある場合、その売掛金は破産管財人が今後回収していくという話になってしまいますので、得意先に破産手続きを取っていることが分かってしまいます。そのため、特に閑散期を狙って破産申請をすることにしました。もちろん、申請前に、ご依頼者様の方で得意先に対して会社ではなく個人として仕事を引き受けていきたい旨の連絡をしっかりと取っておいてもらいました。幸い得意先も個人としての受注に難色を示すこともなく、無事に個人への引継ぎが出来ました。破産申請前は、会社としての業務停止に向けてご依頼者様がかなり神経質になっておいででしたので、細かな点もしっかりとフォローし、安心して破産申請に向けた準備を進めました。借金の使途は全額事業資金でしたので、借金の使い道のところでもめるようなこともなく、無事に会社の破産と、個人の免責を得ることが出来ました。