この事例の依頼主
男性
相談前の状況
数年前に妻と離婚し,複数人の子どものうち下の子2人を引き取った男性からの相談です。遠方で暮らす元妻と子どもたちの面会交流を認めていたところ,元妻が面会交流時に子を連れ去るなどトラブルになりました。その後,元妻から,①親権者変更,②面会交流などについて調停を申し立てられました。男性としては,親権者変更を認めるわけにはいかないし,子ども達も面会交流はあまりしたくないという意向でした。そこで,調停および審判を通じて,相手方の要求に対応することになりました。
解決への流れ
親権者変更について親権者変更の必要性が全く認められませんでしたので,いかに子ども達がしっかりと生活できているのかについて,写真や客観的資料を準備し,裁判所に提出しました。また,相手方の元妻が提出してきた証拠について,矛盾点などを指摘しました。その結果,ほぼ男性側の主張が認められ親権者変更は認められませんでした。面会交流について面会交流は,未成年の子ども達にとっては健全な成長に欠かせないものであり,面会交流を極力実現する事が望まれます。しかしながら,子ども達も小学校,中学校になってくるとそれぞれの用事や事情などが生じ,面会交流が実現しにくくなることもあります。そのため,面会交流の意義を依頼者様にご理解いただくとともに,子ども達とも直接会ってお話をし,子ども達の意向を聞き取るように努めました。そして,子ども達は全く会いたくないというわけではないが,学校などの都合や面会交流時の対応などに不安があることがわかりましたので,そういった子どもたちの不安などが解消された形で面会交流ができるように調整しました。その結果,子ども達の意向に沿う形で面会交流の回数を限定し,また態様などについても事細かに審判書に定められる結果となりました。
離婚で親権が問題になった場合,多くの場合は男性側に不利になります。一方で,子ども達がしっかりと今の生活に定着していることもわかりましたので,そういった事情を客観的に明らかにしていくことで,十分に親権者変更にも耐えることができました。また,弁護士が依頼者のみならず子ども達とも直接会って話をして関係性を築くことで,よりしっかりとした主張を組み立てることができたと思います。