この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
借金のご相談ということでお越しになりましたが,借金の金額が非常に大きかったことから,自己破産を検討しているようでした。ただ,自己破産の場合,借りた理由が重要となるため,その内容を伺うと,投資詐欺に遭い,その際に言われるがままに借り入れをして借りたお金を渡してしまったということでした。
解決への流れ
投資という側面が含まれていることなどから,自己破産をした場合に管財事件となり多額の予納金が必要となる可能性もありましたが,申立段階で詐欺の経緯等を説明することで同時廃止による処理ができるのではないかと考え,管財事件となるリスクもご説明したうえで,まずは同時廃止となることを目指して手続を進めることにしました。一見すると投資と見られてしまうため,実態は投資ではなく詐欺ということを明らかにするため,これまでのやり取りや,他に同様の被害に遭った方がいないかなどを調べるなどして,裁判所向けの説明資料を作成することに注力しました。申し立て後も裁判所から補足で質問事項などがあったため,その点も極力資料とともに説明をし,最終的に管財事件ではなく,同時廃止事件として取り扱いを受けることが出来,費用も抑えたうえで自己破産をすることが出来ました。
自己破産には,裁判所に納める予納金が低額で,終了までの期間の短い「同時廃止事件」と予納金が高額(静岡の場合,20万円~)で,終了までの期間の長い「管財事件」の2つがあります。どちらになるかは,借りた理由をや財産の多寡等により決められますが,今回のように投資詐欺のケースでは,借金をゼロにする(≒免責)観点から,投資詐欺について事実か否かも含めて調査するために「管財事件」になるリスクがありました。ただ,"何の目的のために管財事件になるのか”を意識すれば,逆にその"目的”を申立段階で解消して,「同時廃止事件」にすることができる可能性もあります。そのため,形式的には「管財事件」になってしまいかねないケースでも,しっかりと弁護士と相談して,何かできることがないか検討することが大事です。