犯罪・刑事事件の解決事例
#遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)

遺留分減殺請求をして500万円を勝ち取った事案【遺留分減殺請求】

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鈴木 祥平 弁護士が解決
所属事務所みずがき綜合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

女性

相談前の状況

依頼者Aさん(長女)の父親が1カ月前にガンでお亡くなりになられました。相続人としては、依頼者Aさんと長男Bの2名だけでした。被相続人である父親は、昔ながらの人で家は長男が継ぐものだという強い考え方を持っていました。ですから、父親は、「相手方に対し全財産を相続させる」という内容の遺言書を作成しておりました。ただ、法律的にいえば、依頼者Aさんは、父親の遺産について、1/2(法定相続分)の1/2(遺留分割合)である1/4の割合で遺留分を有しているので、父親が作成した遺言書は、依頼者Aさんの遺留分は、依頼者の遺留分を侵害するものでした。Aさんは、Bに対して父親の遺産には何があったのかを教えてほしい話をしましたが、Bさんは全く相手にしてくれるような状況ではありませんでした。Aさんが自分にも遺留分があるのだから、教えてもらう権利があるはずだという話をしても全く相手にしくれませんでした。

解決への流れ

依頼者Aさんの友人が偶然、当職の友人であったことから、依頼者Aから相談を受け,当職がAさんの代理人として遺留分減殺調停の申し立てをすることにしました。調停の席では、まず、父親の遺産としてどのようなものがあるのかを調査することから始めました。調停員会を通じて、相手方Bに父親名義の口座の取引履歴の開示をするように求めました。最初は、応じることを嫌がっていましたが、調停委員からの強い説得により、財産を確認することができました。確認できた預貯金については2000万円くらいでした。ただ、通帳の履歴を見てみると、何度もお金が引き出されていたり、また、長男Bの口座にお金が送金されていたりと、1000万円以上の「特別受益」(=被相続人から生前に特別な利益を受けていたということ)が長男Bにあることが判明しました。仮に,長男Bに1000万円を超える特別受益があるといことになれば、遺産の範囲が変わってくるため,その分侵害されている遺留分が多くなり,取得できる金額も変わってくることになります。一方で,今後、調停で話合いがつかずに裁判をすることになった場合の展開を見据えた場合には、立証の面から証拠をもって特別受益を立証するのは難しいという状況でした。また,依頼者Aさんの意向としても,あまり長男Bとの間で波風を立てず,穏便かつ早期に終わらせてほしいという要請もありました。そこで,当職は依頼者Aさんと話合った結果、,預金残高証明や土地の固定資産評価額をもとに,証拠の上から固く認められる金額を計算し,侵害されている遺留分に相当する金額を500万円と算出しました。その金額を調停の席でぶつけました。当職からの相手方に対して500万円ではどうかという提案をすると,長男Bから依頼を受けた弁護士からの回答は、「500万円ではなく、400万円に減額してくれないか?」というものであった。しかし,当方としては、大幅に譲歩した結果の提案であったことから、減額には応じられない。それで受け入れられないということであれば調停不成立にしてもらって結構だと反論しました。そうしたところ、相手方の弁護士も調停不成立にな、訴訟に展開した場合に相手方も調停以上の成果があがるということは考えられないと判断したのか、その後、相手方の代理人から「500万円で応じる」旨の回答をもらうことができました。その後,調停が成立し、500万円全額を支払ってもらいました。

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鈴木 祥平 弁護士からのコメント

調停はあくまでも話合いの場ですから、話し合いで物事を解決しなければなりません。話し合いですから、お互いが言いたいことを言い合っていても何も前に進まないわけです。我々は、どのようにものを考えるかというと、「仮に、訴訟になった場合にどちらの言い分が裁判所に通り安い主張なのか?」ということを考えます。それは、法律論だけではなくて、事実主張とそれを裏付ける証拠があるかどうか?ということによって決まります。双方に弁護士がついている場合には、その「裁判予測」から逆算して、調停で話し合いで合意をした方がいいのかどうかをシュミレーションすることができますが、どうも一般の人同士で調停をやると「声が大きい方が勝つ」とか「強気に出れば勝てる」などといった間違った認識で物事が進むため調停が不成立になることが多いような気がします。話し合いをする際にも、「将来の裁判予測」や「法律論や主張・立証論」が重要になるわけですから、弁護士に相談をして、うまく調停を進めるやり方を聞いておいた方がいいと思います。