この事例の依頼主
20代 女性
20代後半の若い夫婦の離婚の相談でした。交際2年がたった際に、子供ができてしまいいわゆる「できちゃった婚」(いまは、授かり婚というようですが・・)で結婚をしました。子供が生まれてからも、夫は毎日のように外で飲んで帰ってきて、土曜日、日曜日も子供は奥さん(Aさん)にまかせっきりで、家庭を全く顧みない状況でした。ある時、夫の両親を間に挟んで話をしたところ、夫(Bさん)の両親も「子育ては妻の仕事なんだから、夫に子育てを求めるのはおかしいっ!平日は仕事しているんだから、土日くらい好きにさせてあげなさい」という話で、夫の擁護をするばかりで話になりませんでした。Aさんは、ある時我慢の限界が来てしまい、夫に対して「ちゃんと子育てをしてくれないなら、私離婚するからね!」といったところ、夫は、「お前何も稼ぎもないのに、そんなことできるの?やれるならやってみれば?子供と二人で野たれ死ぬだけだぞ!」と言ってお酒を飲みながら笑っていたそうです。Aさんは、耐えきれずにまだ赤ん坊の子供を連れて実家に帰って、そこから別居が始まりました。離婚をしたいのだけども、どうしたらいいかということで当職のところに相談に来ました。
当職がAさんの話を聞いて、最初に思ったことは、2つのことでした。①まず、法律上の離婚事由がないので、離婚をするためには夫側の承諾を得なければならないがどのように離婚に対してクビを縦に振らせるのかという点、②あとは、母親と子供二人で生活をしていくだけの環境がきちんと整っているのかどうかという点でした。②については、Aさんのご両親がまだ健在であり、両親ともに働いていたこともあり、経済的にも支えてくれるような環境は整っていました。問題は、①でした。当職としては、家庭裁判所の調停委員に間に入ってもらった方がいいと考えて、調停を起こすことにしました。調停の席では、夫側は離婚をかたくなに拒否をしていましたが、何回も期日を重ねるにつれて、Aさんの離婚に対するかたい決心が伝わりました。「二人とも若いので、まだ、人生をやり直すことができる。二人ともそれぞれ別の新しい道を歩んだらどうか」という調停委員の説得もあり、最終的には、夫側も離婚を受け入れてくれました。
離婚をするには、原則的には双方が離婚をするという意思を持っていることが必要です。片方が離婚を拒絶している場合には、法律が定める離婚事由がなければ、強制的に離婚をすることはできません。今回のケースは、ひどい夫ではありましたが、法律上の離婚事由に至るほどの話ではありませんでした。そのような場合には、家庭裁判所の調停手続きの中で調停委員に間に入ってもらうことが一番望ましいと思います。当事者同士の話ではまとまらない話も、間に人を入れることで相手方の気持ちが変わることもあるからです。離婚は人生に一度あるかないかのライフイベントです。専門家に相談をhしてどのようにするのが一番いいのかを考えるべきだと思います。