この事例の依頼主
30代 女性
婚活アプリで相手方とマッチング。アプリ内のやり取りで気が合ったので直接会うことになり、実際会ってみても話が弾みました。結婚を前提とした交際を申し込まれ、付き合うことに。交際後もすぐさま、半年後あたりに結婚式を挙げよう、子供はできるかぎり早く欲しいなど、具体的な結婚に向けての内容の話が。幸せいっぱいな気持ちでいると、実は相談したいことがあると告げられました。今勤めている会社を辞めて事業を立ち上げようとしている。もちろん退職金も使うが、事業に必要な金額に足りないから、足りない分400万円を貸してほしいとのこと。金額が金額だっただけにその場は回答を保留。しかし、事業計画書も見せてもらったこと、また、何より既に結婚に向けて動き始めていたこともあって、借用書(金銭消費貸借書)を書いてもらうことを条件に貸すことを承諾。すると、借用書と引き換えに貸すことになっていた日の数日前、急きょ事業資金を早めに用意しないといけない状態になったとの連絡が。借用書は後で絶対書くからと言われたこともあり、信頼し、借用書のないまま振り込みました。ところが、借用書を書いてもらう予定であった当日、連絡が取れなくなり、その後もまったく連絡不通に。結婚詐欺に遭ったのではないかという不安になり、相談に来られました。
早速、管轄の役所に相手方の住民票・戸籍を請求。あわせて警察に確認すると、被害届を提出してもらえれば、振込先の口座凍結に動くとともに、刑事事件としても捜査を始めるつもりであると。依頼者に、早急に被害届を提出するよう依頼。届いた住民票と戸籍を確認すると、既婚者であることが判明。依頼者と検討の上、家族に知られたくない心理をついて携帯電話にかけて弁護士から直接交渉を試みるも、相手方とは連絡がつかず。そこで、通常どおりに内容証明を送付。到達確認を待っていると、依頼者のもとに警察から連絡が。任意で事情聴取した結果、逮捕する流れとのこと。翌日、相手方の弁護人から、当事務所に連絡があり、被害弁償をする意向であることを確認。依頼者にその旨報告すると、要望としては、全額返金と慰謝料が支払われるのであれば示談に応じてもいいとのこと。相手方の弁護人に依頼者の要望を伝え、粘り強く交渉した結果、要望どおりの示談書を締結するとの確約を得ることに。後日、示談書を締結し、全額返金と慰謝料も支払われ、無事解決に至りました。
今回のケースのように、警察に相談や被害届を出すことが解決に結びつくこともあります。たしかに、被害届を出したからといって、すぐに捜査されるかどうかは警察に委ねられるところがあります。ですので、詐欺の場合すべてで当てはまるわけではありません。しかしながら、今回のように相手方が逮捕までされる状況になると、被害弁償として示談の可能性が出てきます。というのも、被害弁償を行ったかどうかは、検察官の起訴不起訴において大きな判断基準の1つとなっています。それゆえ、起訴され有罪になることを避けるために示談を持ちかけてくる相手方が出てくるということです。最後に結婚詐欺に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。