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これってロマンス詐欺?海外からの贈り物に関税200万円、アプリで出会った"恋人"に要注意
2025年06月15日 09時08分
#国際ロマンス詐欺 #遠距離恋愛 #言語交換アプリ

遠距離恋愛か、それとも国際ロマンス詐欺か。

弁護士ドットコムにはそんな不安を抱える人からの相談が寄せられています。

相談者は最近、言語交換アプリを通じて「海外在住」という男性と知り合いました。言語交換アプリとは、異なる国のユーザー同士が、お互いに学びたい言語を教え合うサービスです。

やりとりはLINEにも広がり、恋愛感情が芽生えたといいます。まだ実際に会ったことはないものの、相手の男性も「同じ気持ち」と伝えてくれているそうです。

そんな中、男性がアメリカからプレゼントを送ってくれたそうなのですが、ここから話が一変します。

遠距離恋愛か、それとも国際ロマンス詐欺か。

弁護士ドットコムにはそんな不安を抱える人からの相談が寄せられています。

相談者は最近、言語交換アプリを通じて「海外在住」という男性と知り合いました。言語交換アプリとは、異なる国のユーザー同士が、お互いに学びたい言語を教え合うサービスです。

やりとりはLINEにも広がり、恋愛感情が芽生えたといいます。まだ実際に会ったことはないものの、相手の男性も「同じ気持ち」と伝えてくれているそうです。

そんな中、男性がアメリカからプレゼントを送ってくれたそうなのですが、ここから話が一変します。

●「プレゼント配送業者」から200万円の支払いを求められる

プレゼントはアメリカから直接届くのではなく、イギリスや中国を経由しており、相談者は、配送業者から中国の関税として約200万円を支払うよう求められたといいます。

この関税を支払えば、「ASEAN+3」の協定があるから、日本の関税は支払わなくていいとも説明されたそうです。

しかし、案内された振込先を確認したところ、国内の個人口座でした。支払いをためらっていると、別の個人口座へ振り込むよう求められました。

●「イギリス人男性」を名乗るケースが報じられている

同じようなケースで、いわゆる「国際ロマンス詐欺」が疑われる事件が起きています。

山形県在住の女性が、言語交換アプリで知り合った「イギリス人男性」から「荷物がタイの税関で止められ、罰金を払わなければいけない」などと連絡されて、運送会社を名乗る業者に約86万円を送金してしまったという被害が報じられています(山形新聞2024年11月26日付)。

今回のケースで、相談者は本当に関税で200万円かかるのか、それとも詐欺なのか悩んでいます。プレゼントに伴う支払いは、犯罪に巻き込まれるリスクをはらんでいないのでしょうか。詐欺事件にくわしい鬼沢健士弁護士に聞きました。

●個人口座に振り込ませるのは詐欺の手口

——配送業者を名乗る人物が、複数の国内個人口座に振り込みを求めてくる行為は、詐欺や不正送金にあたる可能性がありますか。こうした要求に応じることにどのような法的リスクがあるのでしょうか。

今回のケースのように、恋愛感情を利用しつつ、会ったこともない相手(配送業者含む)が高額な金銭を要求する場合は、確実に国際ロマンス詐欺といえます。

アプリの画像はまったくの他人のものを無断使用しているか、作られた架空の人物のものです。複数の個人口座を指定するのは、詐欺師の特定を防ぐための手段です。

そのため、配送業者を名乗る人物が、複数の個人口座に振込を求める行為は、100%詐欺だと断言できます。仮に振り込んでしまった場合、現状では、お金を取り戻すことは難しいです。

●「200万円の関税」はあまりに非現実的である

——海外からの個人宛の贈り物で、関税として200万円も請求されるケースは、現実的にありうるのでしょうか。今回のケースでいえば、配送業者から「ASEAN+3」などの説明もありましたが、関税が免除されるといった国際協定は実在するのでしょうか。

「ASEAN+3」とは、東南アジア諸国連合(ASEAN)で構成される10カ国と日本、韓国、中国を加えた枠組みのことです。関税撤廃については別の枠組みがあり、「ASEAN+3」が関税と直接的に関連することはありません。

中国からの輸入の場合、個人輸入の計算式は『個人輸入の関税=商品代金×60%×関税率』です。品目によって関税率は違いますので、具体的な算定はできないものの、200万円の関税がかかるということは、何千万円もする贈り物であると考えられますので、あまりに非現実的な数字であるといえます。

●もしも振り込んでしまったら?

——国際ロマンス詐欺でお金を振り込んでしまった場合、取り戻すことが難しいとのことですが、そうした状況でも、相談者は何か法的手段を取ることはできるのでしょうか。

まず、振り込め詐欺被害救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配当金の支払等に関する法律)にもとづく口座凍結が考えられます。

手続きとしては容易ですが、こういったケースでは、口座の残高が少ない場合が圧倒的に多く、回収には限界があります。また、他の被害者も多数いる場合には分配される額が低くなるというデメリットがあります。

口座名義人に対する損害賠償請求も考えられますが、実際は、口座名義人に資力がとぼしいことが多いです。

ほかに、振り込んだ口座の仮差押から本差押を目指す手段が考えられます。残高が多い場合には、この方法が最もおすすめです。

口座凍結以外の法的措置に関しては難しい手続きですので、弁護士の力を借りることをおすすめします。

ただし、回収が難しいにもかかわらず、その点を十分に説明しない弁護士とのトラブルが急増していますので、くれぐれもご注意ください。

いずれの手続きに関しても被害発生から少しでも早い行動が必要不可欠です。

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