12698.jpg
「乾杯は牛乳で」「子どもをほめよう」 ユニークな条例はどこまで認められているの?
2014年06月11日 18時03分

「宴会の乾杯は、できるだけ牛乳で」「いい子をほめよう」「雪と仲良く暮らそう」など、一風変わった条例が全国の自治体で相次いでつくられている。

北海道・中標津(なかしべつ)町では今年4月から、宴会のときは牛乳で乾杯しようと呼びかける「牛乳消費拡大応援条例」が施行された。牛乳を飲む習慣をつけ、町の基幹産業である酪農業を盛り上げるのがねらい。すでに多くの自治体に地元の日本酒やワインによる乾杯条例があるが、牛乳での乾杯は全国初だという。

鹿児島県・志布志(しぶし)市の「子ほめ条例」は、ボランティア活動に参加したり、親孝行やあいさつをきちんとしたりする子どもを積極的に表彰し、成長をサポートしようというもの。秋田県横手市の「雪となかよく暮らす条例」は、市民に雪国の生活マナーを守って協力し合うことなどを求めている。いずれも、ほのぼのするネーミングに思わず顔がほころんでしまいそうだ。

それぞれの条例には、なんとか地域振興を図ろうとする地元の奮闘がにじみ出ている。一方で、こうしたユニークな内容の条例制定は、どこまで自由に認められるものなのだろうか。一藤剛志弁護士に聞いた。

「宴会の乾杯は、できるだけ牛乳で」「いい子をほめよう」「雪と仲良く暮らそう」など、一風変わった条例が全国の自治体で相次いでつくられている。

北海道・中標津(なかしべつ)町では今年4月から、宴会のときは牛乳で乾杯しようと呼びかける「牛乳消費拡大応援条例」が施行された。牛乳を飲む習慣をつけ、町の基幹産業である酪農業を盛り上げるのがねらい。すでに多くの自治体に地元の日本酒やワインによる乾杯条例があるが、牛乳での乾杯は全国初だという。

鹿児島県・志布志(しぶし)市の「子ほめ条例」は、ボランティア活動に参加したり、親孝行やあいさつをきちんとしたりする子どもを積極的に表彰し、成長をサポートしようというもの。秋田県横手市の「雪となかよく暮らす条例」は、市民に雪国の生活マナーを守って協力し合うことなどを求めている。いずれも、ほのぼのするネーミングに思わず顔がほころんでしまいそうだ。

それぞれの条例には、なんとか地域振興を図ろうとする地元の奮闘がにじみ出ている。一方で、こうしたユニークな内容の条例制定は、どこまで自由に認められるものなのだろうか。一藤剛志弁護士に聞いた。

●「法令に違反するかどうか」がポイント

「地方自治体が条例を制定する権利は、憲法94条に定められています。条文は、<地方公共団体は…(中略)…『法律の範囲内で』条例を制定することができる>となっています」

このように一藤弁護士は説明する。

「憲法94条を受けて、地方自治法14条1項は、<普通地方公共団体は、『法令に違反しない限りにおいて』…(中略)…条例を制定することができる>としています。

つまり、ポイントは、『法令に違反するかどうか』です。なお、ここでいう『法令』は、国が定める法律や規則を指します」

どんな場合に「法令違反」になるのか。基準のようなものはあるのだろうか?

「法令に違反するかどうかの判断については、最高裁判所の判例(昭和50年9月10日判決 徳島市公安条例事件)があります。

この判例では、条例と法令のそれぞれの趣旨、目的、内容および効果を比較し、両者の間に矛盾・抵触があるかどうかにより判断すべきとされています」

●「あえて法規制されていない」ケースもある

そうなると、法令では特に規定がないことがらについては、どんな条例を定めても問題ないということだろうか。

「さきほどの判例は、ある事項について法令に規定がない場合でも、法令が『あえて規制をせずに放置する趣旨』であるときは、条例で規制を設けることは法令に違反すると述べています。

つまり、『法令があえて規制をしていない事柄かどうか』も、重要な判断要素になるのです」

法令があえて踏み込んでいない部分について条例をつくると、問題とされる場合もあるわけだ。今回、例に挙がっているような条例はどうだろうか?

一藤弁護士は「今回、話題にのぼったユニーク条例が定めていることは、法令があえて規制をしていない趣旨とは思われないため、法令に違反するものとはいえないでしょう」と指摘したうえで、「地域の特徴を活かしたユニークな条例は、もっと制定されていいように思います」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る