13922.jpg
あるネイリストの悩み「ライバル店のデザインを使ったら、著作権侵害ですか?」
2017年05月22日 09時38分

日本人ネイリストの技術力の高さには定評があり、最近では、日本旅行の目的としてネイルサロン訪問をあげる外国人旅行客もいるそうだ。しかし、そのデザインをめぐって、あるネイリストから、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに悩みが寄せられた。

投稿者は、他のネイルサロンのHPや、パンフレットに掲載されたネイルデザインを使って、客に施術したいと考えている。しかし、「著作権侵害になってしまうのでしょうか」と、心配しているようだ。

ネイルデザインも、著作権保護の対象となる「著作物」なのだろうか。知的財産権法に詳しい河西邦剛弁護士に聞いた。

日本人ネイリストの技術力の高さには定評があり、最近では、日本旅行の目的としてネイルサロン訪問をあげる外国人旅行客もいるそうだ。しかし、そのデザインをめぐって、あるネイリストから、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに悩みが寄せられた。

投稿者は、他のネイルサロンのHPや、パンフレットに掲載されたネイルデザインを使って、客に施術したいと考えている。しかし、「著作権侵害になってしまうのでしょうか」と、心配しているようだ。

ネイルデザインも、著作権保護の対象となる「著作物」なのだろうか。知的財産権法に詳しい河西邦剛弁護士に聞いた。

●ネイルデザインは著作物になる?

「ネイルデザインが著作権法上の『著作物』といえるかどうか。これを検討する上では、そのネイルデザインに『創作性があるか否か』が重要なポイントになってきます。

著作物とは、『思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの』(著作権法2条1項1号)です。なお、著作物であるとされるためには、実際に表現されていることが必要であり、頭の中でイメージしただけでは著作物にはなりません」

では、ネイルデザインはどのように判断されるのだろうか。

「著作権法第10条には、著作物に該当するものが例示列挙されているのですが、ネイルデザインは『美術の著作物』に該当すると考えられます。しかし、全てが該当するわけではありません。著作物として認めることは、そのデザインを独占できる非常に強い権利を与えることになるからです。

ネイルデザインは人間の爪に施すものですから、表現するスペースにも限界があり、デザインは自然と似てしまうことにならざるをえないでしょう。実際、簡単なネイルアートにまで著作権を認めてしまうと、現実社会で弊害が生じかねないので、かなり創作性の高いネイルアートでないと著作物と認められない可能性があります。

しかし、過去の裁判例を見てみると、独自のヘアスタイルや化粧等を施されたモデルが著作物として成立する余地があるとした裁判例もありますので、ネイルアートだから著作物に一切該当しないということにはならないでしょう」

今回のケースでは、真似したいデザインが著作物に該当するものかどうかは不明だが、相談者に対して、河西弁護士は次のように助言する。

「最後に、ご質問に対する返答になりますが、ネイルサロンのHPやパンフレットに掲載されていたデザインの創作性が高く著作物に該当するとなれば、同じデザインをお客さんに施すことは著作権侵害ということになります。

もっとも、理論的にはこのようになりますが、実際の裁判例で著作物と認定されるネイルアートはかなり少ないとは思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る