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「投稿動画」の再生回数を水増し 「クリック屋」は違法でないのか?

いまや、娯楽の一つとなっているYouTubeやニコニコ動画などのインターネット動画サイト。これらのサイトでは、動画の再生回数に応じて、広告料が支払われる仕組みができ、広告収入を得て生活する人が増えているという。なかには、1千万円以上の広告収入を手にする人もいるようだ。

ところが、動画の再生回数を水増しする「クリック屋」と呼ばれる人たちがいるというのだ。2013年2月13日に放送されたNHK『クローズアップ現代』によると、クリック屋は、再生回数を増やしたい投稿者から依頼を受け、動画の再生ボタンを何度もクリックすることで、見かけの再生回数を増やす。これによって上がった広告料の一部を報酬として受け取るという。

YouTubeのガイドラインには、「不正な手段でクリック数を水増ししたりしないでください」などと書かれており、クリック屋の行為は利用規約に違反しているようだ。では、クリック屋は法的に処罰されないのだろうか。また、クリック屋や依頼した投稿者は、動画サイト側から損害賠償を請求されることはないのだろうか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

●「クリック屋」の行為が「犯罪」と言えるかどうかは難しい

ます、動画の再生回数を不自然な方法で増やそうとする「クリック屋」の行為は「犯罪」になるのだろうか。

尾崎弁護士によると、「考えられるのは、詐欺罪(刑法246条)と業務妨害罪(同233条)ですが、これらの犯罪が成立するかどうかは微妙です」という。

「詐欺罪にあたるには、財産や利得を得るための『欺罔(ぎもう)行為』、すなわち『人をだます』行為であるといえなければなりません。しかし、クリックすることで再生回数を自動的に増やすことができるシステムにおいては、意図はどうであれ、クリックを多数回することが欺罔行為であるとするのは無理があると思われます」

このように説明したうえで、電子計算機使用詐欺罪(同246条の2)の可能性について、次のように述べた。

「多数回のクリック自体は、システムの誤作動を引き起こすような『不正な指令』ではないので、電子計算機使用詐欺罪(同246条の2)にも該当しません」

見かけの数字を増やされているのだから、動画サイト側とすれば「だまされている」ように見えるかもしれないが、刑法上の詐欺罪とすることは難しいようだ。では、業務妨害罪はどうだろうか。

「業務妨害罪は、偽計を用いて業務を妨害する必要がありますが、もともとサイトでは、多数回の動画再生を予定しており、本当に面白いと思った人がクリックできないようになるわけではないのですから、不正意図のクリックがあったとしても『業務を妨害した』と評価するのは通常は困難でしょう。同様に『使用目的に沿うべき動作をさせず』とも言えませんので、電子計算機損壊等業務妨害(234条の2)にも該当しないと考えられます」

●規約違反の事実が明らかであれば、損害賠償を請求できる

クリック屋を犯罪とするのは難しいようだが、YouTubeのガイドライン(利用規約)には、「不正な手段でクリック数を水増ししたりしないでください」という文言がある。ということは、それに違反した投稿者とクリック屋は、動画サイトとの約束を破っていると言えるのではないか。

「もちろん、犯罪に該当しないとしても、サイトの規約上からも不正手段であるとされている以上、その様な行為は契約違反となり、投稿者はこれによって生じたサイトの損害を賠償すべき義務は生じると考えられます。

また、クリック屋についても、投稿者の規約違反に協力している以上、サイトに対する関係で不法行為が成立し、同様の損害賠償義務が生じるでしょう」

つまり、利用規約に違反した投稿者とそれに協力したクリック屋は、動画サイトから損害賠償を請求される可能性があるようだ。

「もっとも、投稿者が友人に閲覧するように頼んだ場合などと区別することは容易ではないと思われますので、規約違反の事実が明らかな場合以外は、損害賠償請求は困難ではないでしょうか」

動画サイトには日々、数えられないくらいの動画が投稿されていく。あまりの多さのために、たとえ面白い動画であったとしても、埋もれてしまう可能性はある。投稿動画の広告料がビジネスになりつつある今、面白くないのに不自然に再生回数が多い動画があれば、それはクリック屋の仕業かもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

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「VTuber=ひとつの人格」理解広がって 「ANYCOLOR」が取り組むネット中傷対策

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名前や顔を出さずに、キャラクターを通じて活動することから、VTuberへの中傷は「キャラクターへの中傷」とみなされ、「人間への中傷」となかなか理解されてこなかった。

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「GPS捜査」に立ち向かった「チーム亀石」若手弁護士6人、歴史的判決までの軌跡

令状なしの「GPS捜査」を違法とした3月15日の最高裁大法廷判決は、GPS捜査のあり方についても、立法で整備することが望ましいと踏み込んだ「歴史的」ともいえる内容だった。判決を受け、警察庁は全国の警察にGPS捜査の自粛を指示した。

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その存在を明るみにし、警察の捜査に「待った」をかけた弁護団の6人は、いずれも法科大学院を経て弁護士になった、キャリア10年未満の若手だ。メンバーは62期(2009年12月、司法修習修了)の亀石倫子(主任)、小林賢介、西村啓、小野俊介、舘康祐と64期の我妻路人の各弁護士。事件を担当し始めたときは、弁護士になって4年ほどだったという。

1人分の弁護料を6人で分け合い、ほとんど手弁当で3年近く戦ってきた。「経験が浅いので、法科大学院で学んだ憲法や刑事訴訟法の基本に忠実に、事件と向き合ってきた」(亀石弁護士)という、彼らの歩みを振り返りたい。

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